校長室より
(校長室より) 「オンライン授業の長所」(9/18)
毎日新聞に「香山リカのココロの万華鏡」という欄があり、精神科医である香山リカ先生が連載しています。9月16日に「オンライン授業の魅力」というタイトルの文章が掲載されました。香山先生は、教員として立教大学で仕事をしています。4月からはすべてオンライン授業で、大学の教室を使っての講義はしていないそうです。
立教大学が経営学部600人超の学生に対して、オンライン授業に関するアンケートを行った際、「オンライン授業の満足度は対面授業よりも高い」「大人数、一方向型の授業でオンライン継続を望む割合が高い」という調査結果が出たそうです。
また「リラックスして授業に参加できた」「自分のペースで学習することができた」「服装に気を使わずにパソコンに向かえるのがいい」「まわりに人がいないので先生の話に集中できる」「秋からもオンラインならたくさん授業を受けられそう」等の意見もあるようです。
本校においても、6月にオンライン授業を試行し、7月には普通科2年生を対象に外部講師(横浜桐蔭大学溝上教授)によるオンライン授業を実施しました。そして昨日17日、NPO法人DNA(代表.沼田翔二朗氏)の協力を得て、普通科1年生の総合的な探究の時間にオンライン授業を実施しました。将来の自分の仕事について、「仕事は動詞で考えよう」「仕事は広がりに気づこう」「仕事は定義を捉えよう」という3点について各自が考え、他者と意見を交換しながら、仕事に対する理解を深めました。(9/18付上毛新聞に掲載されました)
オンライン授業は、どこからでも授業をすることができ、どこにいても授業をうけられるメリットがあります。また、教室で発言するのが苦手な生徒も、チャット機能を活用して発問したり、相談をしたりすることが可能となります。リラックスできる、自分のペースで学べる、オンライン授業の魅力を、教室で顔を見みながらの対面授業(オフライン授業)でも発揮できるような授業改善に取り組んでいく必要があります。
(校長室より) 「よい授業とは」(9/7)
よい授業とは、どんな授業でしょうか? 本校は、昨年度から、「Find!アクティブラーナー」というwebページの学校会員となっています。そのページを開くと、授業動画・講義等のさまざまな動画が3000本以上みることができます。最近はオンライン授業動画も増加しています。全国の先生方が様々な工夫をしながら、「主体的・対話的で深い学び」を目指して授業を公開しています。生徒が主体的に参加している「よい授業」は、先生方が試行錯誤を繰り返しながら作られることがわかり、大変勉強になります。
(参照webページ https://find-activelearning.com/ )
私が考える「よい授業」とは「面白い授業」です。いかに生徒の知的好奇心や学習意欲を高めることができるのか、という視点が重要です。面白くなければ、生徒は興味を持ちません。面白いと思えば、生徒はその教科に興味をもち、主体的に学ぼうとします。そうなれば理解が深まり、気付きが増え、さらに未知なるものにチャレンジしていきます。
さらに、学校の授業が、先生の一方的な知識の伝達だけであれば、これからの未来を生きる生徒にとって、必要な学力は身につきません。知識はインターネットやスマートフォンがあれば、ほとんどの情報が手に入ります。教科書に書いてあることを解説するだけの授業、知識を一方的に教えるだけの教育は必要とされていません。いずれ生徒全員にノートPCが配付され、無線LAN(WiFi)環境が整備されます。そうした情報通信技術(ICT)も、生徒の知的好奇心や学習意欲を高めるために活用するべきだと思います。
教員が「よい授業」をしようと思えば、不断の創意工夫が求められます。教員は生涯、試行錯誤の繰り返しが必要になると考えます。
(校長室より) 「洗心亭」(9/1)
「【洗心亭】は、家と呼ぶにはあまりにちっぽけで粗末な野小屋に見えた。が、近づくにつれて印象は一変した。粗末は楚々に変わり、ちっぽけは慎ましさに変わった。伝統的な日本家屋の様式に則った、古いが風格のある居宅だった。誰か掃除にでも入っているのか、戸も障子も開け放たれてあった。部屋は二間のようだ。(中略)かつてこの離れ家に二十世紀を代表する建築家が住んでいた。意外性に富んだ歴史の綾が見る者に特別な感慨を抱かせるのは当然のこととして、しかしそうした経緯を知らずとも、凜とした佇まいがこの家の由緒を感じさせる。」
上記の文章は、横山秀夫氏の小説「ノースライト」(127p)に記載されている、「洗心亭」を表現したものです。「洗心亭」は、群馬県高崎市にある少林山達磨寺に現存しています。県指定の重要文化財になっており、見学することが可能です(Youtubeで配信されている動画でもみることができます)。
世界的大建築家ブルーノ・タウト氏が、1934年8月~約2年間居住したとされる建物です。
横山氏のこの小説は、大建築家ブルーノ・タウト氏の物語を背景に、様々な人間関係(家族関係)をからめ、人の善良さ、思いやり、優しさが表現されます。一家はどこへ消えたのか? ブルーノ・タウト氏と椅子の関係は? ミステリー、仕事へ復活、家庭崩壊からの立て直し等、様々な要素をからめた感動の物語です。そしてブルーノ・タウト氏の建築物を、自分の目で確かめたくなります。素晴らしい物語でした。
(校長室より)「なぜ、仕事をしなければならないのか?」(8/27)
今日から2学期がスタートしました。生徒のみなさんは充実した夏休みを過ごすことができたでしょうか?
2学期の始業式では、「なぜ、仕事をしなければならないのか?」という話をしました。
3年前のあるテレビ番組で、定職をもたない若者たちが発した「なぜ仕事をしなければならないのか?」という問いに対し、マツコデラックスさんが、若者たちに対して回答を述べていました。その発言の一部を紹介します。
「仕事以外に生きる価値って何があるの、って思う。
何をして生きている、っていう実感を得ているか?
自分が楽しければいい、という価値以外に、生きている価値は、どれだけ社会に貢献できているか? どれだけ人の役にたてているか? という方が大きいと思う。その満足って、好きなことだけやっていると得られないと思う。
何か見つけないと、その先に何もない。何か将来につながることをひとつでも考えていた方が、いざっていう時に絶望しなくてすむ。」
マツコさんの言葉は、学ぶこと、成長すること、そして仕事をすることが、何のためにあるのか、ということを私たちに教えてくれます。
2学期の、みなさんのさらなる成長を期待しています。
(校長室より) 「群馬住みます芸人アンカンミンカン」(8/11)
夏休みがスタートし、10日あまりが過ぎました。生徒のみなさんは充実した夏休みを過ごしているでしょうか。ここで、1学期終業式の式辞で述べた内容の1部を紹介します。
それは、群馬住みます芸人アンカンミンカンの富所哲平さんの話です。群馬テレビなどでよく見かける2人組の、めがねをかけている方です。その富所さんが、上毛新聞にこんなことを書いています。
(6月4日付)「地域の未来を考える上で、業界の壁なんて関係なくなってきていて、タテの関係に加えて、ヨコやナナメの交流が増えてきています。そのおかげもあってか、日々、学びがあります。知らないことを知ること、それこそが学びの本質で、そこから生まれる行動や思考が、人としての成長に他なりません。」
(7月27日付)「知らないことを知ることが『学び』で、学んでから考え方や行動が変わることを『成長』と言います。皆さんは大人になってから成長できていますか?(中略)1回きりの人生、楽しくて優しそうな未来を、自分で選択したいと思います。そのために今日も少しだけ努力する。一人の百歩より、みんなの一歩。」
今年の夏休みは、例年より短くなりましたが、この期間、毎日成長するために、学ぶことを継続してほしい。毎日振り返る時間をつくり、行動に結びつけてほしい。毎日成長するために、限られた時間、限られた命を大切に使ってほしい。という話をしました。
最後に、ノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹氏の言葉を贈ります。
「1日生きることは、1歩進むことでありたい。」