2020年12月の記事一覧

(校長室より)  教育と新聞(12/23)

 教育に新聞を活用する方法を考える「第25回NIE(エヌ・アイ・イー)全国大会」が11月22日、東京都内で開催されました。新型コロナウィルス感染拡大の影響で、今回は初めてオンライン開催となり、配信された講演や実践発表を教育や新聞の関係者が視聴しました。本県からも関係者15人が参加し、本校の大津幸信先生も参加しました。(大津先生はNIEアドバイザーとして参加し、その感想が12月13日付上毛新聞に掲載されました。)

 記念講演は、ハゲタカシリーズなどの社会派小説で知られる作家の真山仁さんが行いました。

「新聞を読めば自分は複雑な社会にいて、知らないことがたくさんあり、それを知る努力をしなければならないと気付かせてくれる」

「疑問があっても事実に基づいて反論しないと駄目」

「誰でもできるのは、新聞を疑い続けること。『100%本当か』と『うそだ』とはぜんぜん違う」

「『本当にそうなのか』という気持ちを子どもたちに持たせ想像を喚起させることが、これから新聞を用いた教育で一番大事になるのではないか」などと参加者に問いかけていました。

 

 話は変わりますが、新聞やマスコミが、新型コロナウィルス関連のニュースを数多く取り上げています。様々な情報が流れる中、私が当初から疑問に思っていたことは、感染者数だけでなく、検査した総数の情報を何故掲載しないのか?という点です。最近では、検査総数から導き出だされる陽性判定率も提示されるようになってきましたが、当初は全く公表されず意図的に隠しているのではないか、との感想を持ちました。新聞記事だけで、全てが明らかになるわけではありませんが、他人の考えを鵜呑みにするのではなく、自分自身で考えるために、新聞から様々な情報を入手することが必要です。高校生たちも、新聞から社会の課題を見つけ、自分で考える習慣を身に付けてほしいと思います。

(校長室より)  一度読んだら絶対に忘れない世界史(12/18)

 「一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書」山崎圭一著(SBIクリエィティブ)を読みました。この本を読み、私たちは何故、歴史や地理などの社会科を学ばなければならないのか、ということをあらためて実感しました。

 

 この本の著書、山崎圭一先生は、福岡県の公立高校で社会科を教えていました(2020年3月退職)。教師時代に歴史や地理など500本以上の授業動画を公開し、再生回数850万回以上を数える人気ユーチューバーとなっています。

(山崎圭一チャンネルhttps://www.youtube.com/c/HistoriaMundi/videos

 

 山崎先生がYouTubeを始めたきっかけは、転勤だったそうです。公立高校の教諭は5年~10年ほどで学校を異動します。異動前の高校2年生に、世界史を教えていた山崎先生の転勤が決まったとき、当時の2年生から、「3年生になっても世界史を教えてほしい」と言われたそうです。新しい学校での仕事がありますから、前任校で教えることは不可能です。その際生徒から、「それならせめてYouTubeでやってほしい」と熱望され、始めてみたところ、高校生だけではなく、不登校の生徒や、海外留学中の生徒、社会人など、予想もしていない人たちが、授業動画をみて勉強していることがわかったそうです。

 

 山崎先生の歴史は、年号を扱いません。歴史は暗記するものではなく、ストーリーを楽しむものというのが先生の主張です。そして、歴史や地理などの社会科という科目は、社会に出てから必要になる教科である、ということも述べています。確かに社会人になってから、歴史や地理、政治や経済が必要になる場面が、たくさん出てきます。歴史から、自分の人生を見つめ直すことができます。社会人になってから、学び直しをする人が多いことからも、それがわかります。本校の図書室に、山崎先生の著書の購入をお願いしました。多くの高校生にこの本を読んでほしいと思います。

(校長室より)  マラソン(12/14)

 先週末、本校でマラソン大会が実施されました。天候にも恵まれ、ゴール後、生徒たちのさわやかな笑顔をみることができて、幸せな気持ちになりました。

 

 さて、人は何故走るのでしょうか? 日本では、週1回以上ランニングをする人は、約549万人いるそうです。また本年秋から2021年春にかけて、開催予定のマラソン大会が、約460レースあり、それらが中止・延期された場合の経済的損失額は推定計7100億円に上るそうです。私は毎年12月に開催されるホノルルマラソンに参加したいと思っていたのですが、本年は中止となりました。一方、ランナーが大会で集まることなく、スマートフォンのアプリで自分の好きな時間に走る「オンラインマラソン」の大会も広がっています。先月群馬県で開催された「ぐんまマラソン」も「ぐんまウェブマラソン2020」というオンラインマラソンでした。

 

 人は何故走るのでしょうか? 鹿島アントラーズ地域連携チーフマネージャーの吉田誠一さんは、11月30日付日本経済新聞紙上でこんなことを述べています。

「農道や川沿いをのんびり走りながら、私は自然の中で溶け込んでいく。自分が独立した存在ではなく、周囲と融和していく。そのとき、取り巻く世界のすべてが一つの命であるように感じる。自分の収まりのよさを感じる。そこにある安寧が私を走らせ、登らせるのかもしれない。」

(校長室より)  人生の成功(12/4)

 人生の成功とは何でしょうか。お金持ちになれば成功なのでしょうか。プロスポーツ選手や芸能人やユーチューバーとなって有名になることでしょうか。仕事をせずに遊んでくらすことでしょうか。何をもって成功というか、その答は人の数だけあると思われます。先日、天才芸術家・岡本太郎氏の著書「自分の中に毒を持て」を読み、太郎氏の考えに感動しました。

(岡本太郎氏の代表作は、1970年の大阪万博博覧会でテーマ展示を依頼され作り上げた【太陽の塔】であり、国際的にも話題となり永久保存されています。)

 

 太郎氏が若い頃、自分の作品に対して「そんな落書きは通用しない」と芸術界の大御所たちに馬鹿にされた時、こう思ったそうです。「だから何だ、上等だよ、俺は他人に評価されるために作品を作っているわけじゃない、作品を命がけで作っている、この生き様こそが美しいんだ。自分が本気でやって、それで野垂れ死ぬなら本望だ。」「挑戦した不成功者には再挑戦者としての新しい輝きが約束されるが、挑戦を避けてオリてしまったやつには新しい人生はない。ただただ成り行きにまかせてむなしい生涯を送るにちがいないだろう。」

 

太郎氏の言葉から学べることは、人生の成功は、いかに自分の信念を貫いたかで決まる、ということです。人生の成功に正解はありません。しかし他人にどう思われるか、お金持ちになるかどうか、ということではありません。人生の成功の基準は、自分がやりたいことを最後までやりぬいたか、ということです。これからの人生で価値があることは、他人の人生の正解をなぞる人生ではなく、自分の人生の正解を作っていける人です。大事なのは他人がどう思うかではなく、自分がどう思うか、ということだと思います。

太郎氏はこんなことも言っています。

「【成功は失敗のもと】と逆に言いたい。その方が人生の面白さを正確に言い当てている。」