2019年8月の記事一覧

(校長室より)  「アクティブラーナー」(8/27)

 「双方向型学習へ転換を」、8月19日付日本経済新聞で総合研究大学院大学学長の長谷川真理子氏はこのように主張しています。
「これまで、日本の大学の授業といえば、週に1回、90分の講義を通年で行うというのが普通だった。たいていは大人数の講義である。まずはこれを変えるべきだ。質問と討論による、教員と学生との間、また学生同士の間のより密接な相互作用が必要である。(中略)18歳人口の半分が大学に進学するようになれば、学生の知的レベルにはかなりの幅ができよう。それでも、どんなレベルの学生であれ、高校までの受動的な学習を転換し、自分で調べて考え、議論する、という態度を身につけることはできるはずだ。それによる到達点は、学生によって異なるだろうが、そのように主体的に考えるという環境は、すべての大学生に与えられるべきであり、大学で過ごした人間はそこが違うという付加価値が見えるようになるはずだ。」
長谷川氏の指摘する双方向型学習とは、新学習指導要領でも取り上げられている、アクティブ・ラーニングの視点をもった授業(学習)のことであり、「主体的・対話的で深い学び」のことです。高校においても、このような学習は必要とされています。具体的にはどのような授業(学習)なのでしょうか。実際の授業をwebページで見ることが可能です。
数年前から「Find!アクティブラーナー」という、webページの会員になりました。このwebページでは、「生徒の主体性を引き出したい全ての教員・親の皆様に、授業動画・ニュース・教材を提供する、日本で唯一のプラットフォームです。」と紹介されています。このページでは2000以上の授業・講義を見ることができ(会員のみ、一部無料コンテンツあり)、その数は日々増え続けています。このサイトの理念は、「すべての子どもたちをアクティブラーナーに」というものです。ぜひこの動画を多くの先生方や保護者の方に見てほしいと思います。
(参照webページ https://find-activelearning.com/ )

(校長室より)  「主体的に学ぶ」(8/20)

 7月、主体的に生きてほしい、という話を生徒たちにしました。8月12日付日本経済新聞の池上彰氏のコーナー「若者たちへ(池上彰の大岡山通信)」で、「主体的に学び、自ら発信」というテーマの記述がありましたので、その一部を紹介します。
「ユニークだったのは授業のあり方に関する発表でした。【主体的に参加するには】【どうすれば面白くできるか】という問題定義がありました。(中略)ある学生は、課題を克服するために【授業で質問しよう】と提案しました。きっかけは【パックン】の愛称で知られるパトリック・ハーラン氏の講義を受講したことです。対話を通じて新たな発見が生まれ、授業が面白くなったといいます。一方的に教えられるのではなく自ら講義に参加してつくっていくこともできます。これぞ大学の学びの姿勢です。」

 この文章は、池上氏が数年前から勤めている東京工業大学にて、7月に開かれた教養卒論発表会を取り上げています。池上氏が東工大に着任したころは、学生は自分の考えを人前で伝えたり、他人とコミュニケーションしたりすることが苦手だったようです。この数年で明らかに変わったといいます。
本校においても、「主体的・対話的で深い学び」ができるような授業や実習を目指しています。生徒たちは、主体的に生きることと同時に、主体的に学ぶ手法を身につけ、自ら発信できる力を手にいれてほしいと思います。

(校長室より)  山(8/9)

8月4日付朝日新聞の投書欄のテーマは、「山」でした。「両親に教わったすばらしさ」というタイトルの文章を一部紹介します。
「山好きだった父のおかげで、子供の頃の夏の旅行は、家族で3、4泊の日本アルプスの山歩きだった。(中略)成人してからは、仕事の合間に百名山を目指すほど熱中した。今は子供と日帰りハイキングに行く程度になったが、山のすばらしさを教えてくれた両親には、本当に感謝している。」
私も、毎年夏に登山をしています。富士山や磐梯山、那須岳、燕岳、雲取山、常念岳など、百名山を目指しているわけではありませんが、登山を楽しんでいます。この投稿欄にはこんな文章もありました。
「10年ほど、東京の高尾山に登っている。初めの数年は、夫と一緒に紅葉の頃に登った。きつかったけど、ダイエットに成功したら、楽になった。近年は混雑する前の10月くらいに、一人で行く。目的は体力検査だ。」
登山をする目的は、人によって違います。家族旅行、百名山、体力検査等々、多くの人々が登山を楽しんでいます。何度登っても登山はきついですが、疲れても、疲れても、また登りたくなります。この夏も山に登り、英気を養いたいと思います。

(校長室より)  知らない世界を知ること(8/5)

7月28日付朝日新聞に、「千葉大【全員留学】を義務づけへ」というタイトルの記事が掲載されました。
「来春から千葉大が、入学者全員に【海外留学】を必修とすることを決めた。授業料も値上げする。【全員留学】は一部私立大学や国際系学部では広がりつつあるが、同大によると、国立大が大学院を含め全学で義務づけるのは初めて。」
【全員留学】は、国際教養大(秋田市)や早稲田大国際教養学部など、国際系の新学部や一部私大でも始まっています。ある大学では、新入生の入学式の日に、短期留学できる旅行の準備(荷造り)をさせて、入学式終了後すぐに海外留学に出発させるようです。千葉大学の小沢副学長は、「千葉大が今進めている教育改革の最大の目標はグローバルな社会で生きていける人材を育てること。その環境整備の柱の一つが全員留学です。在学中に最低1度、2週間から2ヶ月間、まずは海外をみて考えてほしい。」と述べています。
 本年2月、文部科学省で開催された「トビタテ!留学JAPAN」第4回留学成果発表会を参観してきました。そこでは大学生の他に高校生の発表もありました。彼らは、回りに日本人が誰ひとりいない環境に放りこまれ、言葉の壁に悩み、数日間は挫折を味わいます。しかし、このままでは何も得られないと開きなおり、何がわからないかをホストファミリーや先生や他国の学生達たちに問いながら、少しずつ自分の意見を伝えられるようになっていきます。海外では自分から前にでて積極的に発言しないと、誰も助けてくれないし、何も教えてくれません。語学力や異文化理解力だけでなく、挑戦する力やコミュニケーション力、積極性などを手に入れます。そして何よりも素晴らしいのは、彼らが同年代の海外の若者と交流し協働することで、様々な刺激を受けて将来の夢につなげていくことです。人生には多様な選択肢があることを知るきっかけになります。
留学が難しければ、ボランティアや地域貢献でもかまいません。知らない世界を知ることで、その後の人生に大きな影響を与えるはずです。
多くの高校生、大学生に海外などの未知の世界に飛び出してほしいと思います。