2019年5月の記事一覧

(校長室より)  「深い学び」(5/24)

5月17日付け内外教育(時事通信社)に、「深い学びをはじめよう」という東京学芸大学名誉教授児島邦宏氏の文章が掲載されました。一部抜粋して紹介します。

 

「主体的・対話的で深い学び」の中で、主体的な学びや対話的な学びの取り組みは進んだが、深い学びの取り組みは遅々としているようだ。(中略)

学びの結論を学びの過程・脈絡、根拠と結びつけて、それぞれの学びの中で、注意深く、批判的に検討していくことが何より重視される。何が「正解」かは判然とせず、むしろ「なるほどそういうことだったのか」という「納得解」、「これが最もふさわしい」という「最適解」へと導かれる。総合的な学習でその一端を試行したものの、教科横断的な本格的な取り組みは、「深い学び」に始まるといってよい。この未知への決断が、今、促されている。

 

教師が今ある知識を生徒に伝達して、正解がある問いに対して解答する力は与えられますが、新しい未来を切り拓くための正解のない問いに対して、協働して課題を解決する力は身につきません。探究的な学習で、未来につながる、新しい知識や考え方を吸収しながら深く学び、さらに各自の自己教育力を高めることにつながるのだと思います。

本校においても、普通科における総合的な学習・探究、農業科における課題研究等でこのような探究的な学習に取り組んでいます。各教科の学習においても、こうした「深い学び」に結びつくような学習を進めていく必要があります。

(校長室より)「高校~大学、学費」(5/7)

4月25日付読売新聞に、学費についての記事が掲載されました。日本政策金融公庫(東京)が行った2018年度教育費負担の実態調査で、高校入学から大学卒業までに必要な費用は子供一人あたり953万4000円で2017年度より18万円増加したことがわかりました。

ベネッセが発表している、大学入学~在学中にかかる費用(受験料、生活費をのぞく)は以下のとおりです。

国立大学  入学時  817,800円 在学時2,143,200

私立大文系 入学時1,150,863円 在学時3,664,400

私立大理系 入学時1,518,333円 在学時5,048,500円となります。

高校卒業後、4年間勉強するために、それ相応のお金がかかります。しかし大学卒業後、社会人となったあとの年収や生涯賃金を考えると、大学時にかかる費用はそれほど高くないといえます。

厚生労働省の2017年賃金構造基本統計調査結果によれば、大卒者の平均初任給額は20.6万円、高卒者の平均初任給は17.9万円となっています。同様に、大卒の男性平均賃金(月収)は39.8万円、女性は29.1万円となりますが、高卒の男性平均賃金は29万円、女性は21万円となります。

これらを生涯賃金に換算するとどうなるでしょうか。

大学卒業後、23歳から60歳までの38年間、高校卒業後19歳から60歳までの42年間勤務すると、生涯賃金は次のようになります。大卒男性、1億8626万円、大卒女性1億3618万円、高卒男性1億4964万円、高卒女性1億836万円です。これに賞与も入ってきますが、生涯賃金でみると、大卒と高卒の差は約3000~4000万円ほどになるようです。大学の4年間にかかる費用(受験料、入学金、授業料、生活費等)を考慮しても、生涯賃金で考えると十分に元がとれそうです。

学習は、高校卒業後や大学卒業後も必要となります。将来の目標をにらみながら、毎日の学習に意欲的に取り組んでほしいと思います。