2020年1月の記事一覧

(校長室より)  「英語能力指数」(1/22)

 来年度予定されている大学入学共通テストで、英語の民間試験活用が、見送られました。しかし英語の「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能をバランスよく勉強することが否定されたわけではありません。これら4技能を総合的に学ぶことは、これからの時代に必要とされています。
昨年12月18日付読売新聞に「英語能力指数、日本53位」というタイトルの記事が掲載されました。世界で留学などの教育事業を展開する「EFエデュケーション・ファースト」が、2019年の英語能力ランキングを発表しました。英語を母国語としない100カ国・地域のうち、日本は前年より4つ順位を下げて53位となったそうです。1位オランダ、2位スウェーデン、3位ノルウェー、4位デンマークとヨーロッパ諸国が上位に並びますが、5位シンガポール、6位南アフリカと続き、37位韓国、40位中国です。1位~14位は「非常に高い」、15位~29位は「高い」、30位~46位は「標準的」という評価になり、日本は47位以下で「低い」という評価になります。評価対象国は、昨年に比べ12カ国増加し、受験者数も100万人増え、約230万人になったそうです。
 日本の英語能力レベルをあげるにはどうすればいいか。1月14日付朝日新聞で、英国語学評価テスト学会創設者のバリー・オサリヴァン氏はこのように述べています。
「中国では国が開発した4技能テストを毎年150万人が受けており、AI採点などの技術が発達しています。こうした仕組みや研究を改良すれば、少ないコストで、2024年度から(国際基準の統一テストを)実施できるでしょう。他国の例などについて知見があるので、求められれば新制度作りに喜んで協力します。」
 今年度のセンター試験は、55万人7699人が受験しました。同様に英語の4技能テストも、センター試験と同様に、全国の高校生が受験できるようなものにしてほしいと思います。

(校長室より)教育格差という言葉がなくなる制度設計を(1/10)

 新年、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
早速ですが、昨年12月24日付朝日新聞にこのような記事が掲載されました。「来年度から大学など高等教育の学費負担を減らす文部科学省の新制度で、従来なら支援を受けられたのに対象外となる新入生が出ることについて、萩生田文科相は23日、【先輩はこういう家庭環境でこうだったのに、俺はという不満はあるかもしれない】とした上で、そうした学生が出ることに対し【制度の端境期なので、ぜひご理解を】などと述べた。」
この発言に対し、池上彰氏はこのように批判しています。「これは由々しきことです。制度を変えることで支援を受けられない新入生が出ることは、制度設計の欠陥というべきでしょう。」
 教育格差という言葉があります。生まれ育った環境により受けることのできる教育に格差が生まれることを指します。このような格差のない国が存在します。それはフィンランドです。フィンランドでは幼稚園から大学まで学費が無料で、貧困の中からでも大学進学のチャンスがあり、首相にもなれます。
 12月24日付毎日新聞夕刊にて、小国綾子氏がフィンランドの女性首相(34歳)をとりあげています。彼女は幼い頃に父親のアルコール依存が原因で両親が離婚、貧困を経験しました。その後、母親とその女性パートナーに育てられました。中学までの成績は振るわなかったそうですが、高校や自治体の運営する施設で自分の居場所や仲間を見つけ、親族の中で初めて大学進学を果たしました。彼女は「私を救ってくれたのは福祉制度と学校の先生」と述べています。
 日本も、教育格差、という言葉がなくなるような制度設計をしてほしいと思います。