校長室より

(校長室より)  「校歌」(3/16)

 先日、今後のことを考えるために、自分の過去を振り返ってみました。その際に思い出した校歌を3つ紹介します。

 

A赤城が見える大空に、ひとすじの光、わたらせ川

ああ、明日をつくる正しい教え

ここは館林一小、みんなの学校

 

B赤城の山は堂々と、夕日に萌ゆるそらにたち

坂東太郎はそうそうの、響きをあげて地を走る

かかる処よわれどちが あれにし郷の館林

 

C緑さやかに山並み添えて、いらかつらねし学びの園に

高鳴る意気の若人こぞる これぞわれらが誉れの母校

 

Aは館林市立第一小学校、Bは館林市立第一中学校、Cは栃木県立足利高等学校の校歌です。これらは私の出身校で、校歌は全て歌うことができました。

 

 今年度は、始業式、終業式、卒業式等で、生徒による校歌斉唱ができていません。本校の校歌は、本当に素晴らしいものです。コロナウィルス感染が終息したら、大きな声で歌ってほしいと思います。

(校長室より)  「卒業式、ライブ配信」(3/3)

 3月1日、本校の卒業証書授与式が開催されました。例年、1、2年生及び3年生の保護者、来賓を招き、盛大に挙行される卒業式ですが、昨年度に続いて今年度もコロナウィルス感染の影響を受け、2年続けて在校生の出席を見送ることとしました。なんとか在校生に卒業式の様子をみせることができないか、と検討した結果、動画投稿サイト「YouTube」でライブ配信を実施することとしました。前半に音声の不調があり、音が聞こえない部分がありましたが、後半は、卒業生の声や送辞、答辞、生徒の表情などを4台のカメラで配信することができました。現在もその動画は、アーカイブにて、在校生、卒業生及び保護者は見ることができます。

 

ここに校長式辞の一部を紹介します。

 

 「常に挑戦し続けることは、たしかに難しい。しかし、自分と戦うことから逃げなければ、それによってきっと道はひらける。人間にとって成功とはいったいなんだろう。結局のところ、自分の夢に向かって自分がどれだけ挑んだか、努力したかどうか、ではないだろうか。」by岡本太郎

「人生の成功は、他人にどう思われるか、お金持ちになるかどうか、などということは関係ないことがわかります。人生の成功の基準は、自分がやりたいことに最後まで挑戦したか、ということです。ただ、本当につらく悲しいことが自分の人生に訪れた時、その時は周りの人に助けを求めてください。また周りの人が苦しんでいるときは手を差し伸べてください。誰もが自分の人生と戦っています。一人で戦うのが苦しくなったとき、時には助けてもらうことも必要です。」

 

卒業生のみなさん、卒業おめでとうございます。

(校長室より)  「本の著者が、学校を訪ねて授業」(2/18)

 本の著者が学校を訪ねて特別授業をする「オーサー・ビジット」(朝日新聞社主催、出版文化産業振興財団協力)が、2月13日付朝日新聞に紹介されています。今回は作家今村翔吾さんと、ジャーナリスト池上彰さんでした。

 今村さんは、新潟市立五十嵐中学校の図書委員35人と生徒会役員に授業をしました。今村さんは、「小説家には何歳でもなれる」と授業を始め、自分自身が、30歳までダンスインストラクターをしていた経験を話しました。実家が営むダンススクールの講師になり、子どもたちに「夢をあきらめるな」と説きながら、自分は全く小説を書かなかったそうです。教え子の一人に「先生だってあきらめてるくせに」と言われた翌日、講師を辞め、1日の大半を執筆に費やす生活を始めました。今村さんは「夢をかなえるのは難しい。でもあきらめなければ近づくことができる」と、生徒たちに話しました。

 

 教員は、「夢をあきらめるな」「挑戦することをおそれるな」「主体的に生きよ」「深く学べ」などと生徒に指導します。そのように話した時、教員自身が夢をもっているか、挑戦しているか、主体的に生きているか、深く学んでいるか、ということが問われるのです。指導する教員の姿を、指導される生徒は見ています。教員自身が深く学んでいるかどうかを、生徒は見ているのです。

 

 ジャーナリスト池上彰さんは、昨年12月、館林市立第二小学校の6年生に、疫病を追い払う妖怪アマビエのオブジェを見せ、「アマビエの言い伝えがあるように日本にも疫病で苦しんだ歴史がある。奈良の大仏も天然痘が流行した時、聖武天皇が仏教に救いを求め作らせた、とされています。」と授業を始めました。コロナウィルス感染の経験から、世界をどう見るべきか、どんな知識が必要かを考えながら勉強に取り組んで、と子どもたちに話しました。子どもたちは、何故勉強することが必要なのか、ということを池上さんの授業で学んだと思います。

(校長室より)  「はじめての人生、楽しまなくちゃ」(2/12)

 「人間、生きていれば誰でも、事故や病気にブチあたる可能性があります。日本にも近い将来、大きな直下型地震がやってくると言われていますね。明日かもしれないし、30年後かもしれません。しかし、実際はみんなほとんど気にせず生きているのだと思います。病気は突然やってきます。まさに、地震と一緒。しかし、毎日、死や病気への恐怖を感じながら生き続けるのでは、自分が何のために生きているのか、まったくわからなくなります。」

 「病気になったからといって、心の中まで病気に伏せる必要はないのです。己の心を元気にし、『幸せだ』と感じて生きられるようにするのは、医者の仕事でも周りの誰かでもなく、自分しかありません。」

 上記の言葉は、2月4日付朝日新聞に掲載された、つんく♂さんの言葉です。つんく♂さんは、6年前に喉頭がんで声帯を全摘出し、現在声を出すことはできません。そんなつんく♂さんが、坂本龍一さんと組んで、小児がんの子どもたちを音楽で元気づけるイベントのテーマ曲をつくりました。子どもたちが元気であれば、日本も元気になる、そんな思いで音楽を作ったそうです。その歌詞を紹介します。

 

感謝が湧き出てくる 君を見てると

笑顔があふれてくる 君に触れると

困らせていいよ 怒っていいよ 休んでいいよ 続けていいよ

出会えたことが 奇跡の奇跡

一度きりの人生だし 楽しまなくちゃ 欲張らなくちゃ

それでこそ

My Hero My Hero

See you tomorrow

 

 明日、何があるかわからない、だからこそ、子どもたちには、今という時をめいっぱい楽しんで生きてほしいと思います。

(校長室より)  「校長の仕事」(2/3)

 「誰もが、自分の人生と戦っている。誰もが、10代に様々な悩みを抱える。そんな時代を生きる高校生を応援する仕事につきたいと思います。」

というようなことを、30年以上も前、教員採用試験の面接で答えたと記憶しています。2月4日、高校3年生に授業をすることになり、なぜ私が高校教諭になったのか、ということを話そうと考えています。

 

 その授業では「校長」とは何をしているのか、という話も考えています。学校の教育目標を考える、校内の授業を見てまわる、式辞の内容を考える等々、たくさんの仕事がありますが、法律(学校教育法第37条4項)によれば、

「校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する」と定めてあります。

「校務をつかさどる」とは、学校教育の内容に関する事務、教職員の人事管理に関する事務、生徒の管理に関する事務、学校の施設・設備に関する事務など一切の事務を掌握し、処理(調整・管理・執行)する権限と責任を持つことです。学校が素晴らしい業績を残した時、それらは、生徒・職員の功績です。しかし、学校で大きな問題が起きた時は、校長がその責を負うことになります。

 

 教員の仕事は、「人(生徒)を育てる」ことです。そして校長の仕事のひとつに、「教員を育てる」ことがあります。あたりまえのことですが、一人前の教員になるためには時間と労力がかかります。まして若手の教員が「プロ」になるためには時間がかかります。教師の仕事は、他の職業にない感動ややりがいを感じられる素晴らしい職業であることを、生徒・職員に伝えたいと考えています。

(校長室より)  「ロナウドの言葉 胸に」(1/29)

 第99回全国高校サッカー選手権大会の決勝戦、山梨学院高校VS青森山田高校の試合をTV観戦しました。試合は2-2の同点で90分を終え、延長戦でも決着がつかず勝負はPK戦になりました。当初は青森山田が有利とされていましたが、必死の守りをみせた山梨学院が、PK戦を制し、第88回大会以来2度目の全国制覇を達成しました。

 上記タイトルは、山梨学院高校3年生のMF岩崎遼太君を取り上げた、1月27日付毎日新聞記事のタイトルです。

 岩崎君は小学校6年生の時、健康美容器具のPRの質問者に選ばれ、サッカー界のスーパースター、クリスティアーノ・ロナウド選手に質問する機会を得ました。一生懸命練習した、たどたどしいポルトガル語で質問しましたが、緊張で言葉が震え周囲の人に笑われました。ロナウド選手は「なぜ笑うんだい、彼のポルトガル語は上手だよ」とかばってもらい、言葉をかけてくれたそうです。岩崎君は、その時の感謝を原動力に努力を重ね、いつかはプロの選手になり、ロナウド選手と同じピッチに立ちたいと考えています。

全国大会1回戦はベンチ入りの20名から外れましたが、2回戦の鹿島学園戦では終了間際に出場、3回戦の藤枝明誠戦で先発出場しましたが、後半7分に右足を打撲して交代、その後の試合ではベンチに入れませんでした。晴れ舞台の出場機会は限定的でしたが、長谷川監督は、彼をこのように賞賛しています。「非常にまじめで信頼が置ける。(中略)彼はチームにとって本当に必要。気が利くところがプレーにも出て計算ができる選手」

 

小6の時、彼のポルトガル語を笑った人たちに対して、真摯に対応したロナウド選手は一流の人だと思います。人の努力を笑ったり、人の夢を笑ったりする人は、自分のやりたいことや好きなことに挑戦することをあきらめている人たちかもしれません。岩崎君の夢はプロになることであり、まだまだ時間がかかるかもしれませんが、彼の挑戦を心から応援したいと思います。

(校長室より)  「紙の教科書、知の基本」(1/15)

 「GIGAスクール構想」が、本県でも進んでいます。GIGAスクール構想とは、「児童生徒向けの一人一台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備し、多様な子どもたちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化された創造性を育む教育を、全国の学校現場で持続的に実現させる構想」です(Global and Innovation Gateway for All)。本校においても今月末には校内Wifi(無線LAN)の工事が予定されています。その後、全校生徒及び全職員へノートPCが配布される予定です。ICT教育が本格始動します。

 

1月12日付読売新聞に、上記タイトルのインタビュー記事が掲載されました。回答者は、テレビにも出演している明治大学教授 齋藤孝氏です。齋藤氏は、教科書のデジタル化に対して、デジタルだけでは学力低下を招く、と紙の教科書を廃止することに反対しています。

「紙の教科書の利点には、学習のしやすさがあります。(中略)紙をめくりながら本を読むことが脳への刺激になるという研究もあります。」「暗記や記憶を軽視する風潮があります。しかし、記憶が創造性を阻害するという考えは、まったく間違っています。たとえば、法則や原則を知らずに、物理を語ることはできません。教科書の内容くらいは、きちんと記憶しているべきなのです。」

「デジタルの利点は、情報の更新が速く、大量の情報を補充できることです。教科書では1行、2行しか書かれていない事柄でも、デジタルで情報を検索すれば、知識欲を膨らませていくことができます。情報収集のツールとして、授業でどんどん活用すべきです。」

 齋藤氏は、一人一台のパソコンやタブレット端末の配備に、全面的に賛成しています。ただし完全に身につけるべき知識は、紙の教科書で学び、派生的な情報はデジタルで調べればよい、と述べています。

 3月末には、全ての県立学校、小中学校で、一人一台端末の配備がほぼ完了する予定です。今後、生徒や職員がどのようにノートPCやタブレット端末を活用していくのか、今から楽しみにしています。

(校長室より)  「ふりかえり」と「挑戦」(1/7)

 新年、あけましておめでとうございます。

 本年もよろしくお願いいたします。

 昨年末2学期の終業式に、1年をふりかえることの重要性を、生徒のみなさんに話しました。1年間の自分の行動をふりかえることで、これから自分は何をしたいのか、これからどのように生きていくのか、そんなことを1年の終わりに考えてほしかったからです。

 

 そして本日、始業式を無事終えることができました。今年、みなさんは何に挑戦しますか? そして何に力を尽くすか、明確になりましたか?

今日の始業式では、芸術家・岡本太郎さんの話をしました。再度この言葉をみなさんに贈ります。

「挑戦した不成功者には再挑戦者としての新しい輝きが約束されるが、挑戦を避けてオリてしまったやつには新しい人生はない。ただただ成り行きにまかせてむなしい生涯を送るにちがいないだろう。」

 岡本太郎さんの言葉から学べることは、人生の成功は、いかに自分の信念を貫いたかで決まる、ということです。他人にどう思われるか、お金持ちになるかどうか、ということではありません。自分のやりたいことに挑戦したかどうか、ということだと思います。

 

 令和3年、みなさんが自分の夢にむかって、挑戦し続けることを期待しています。

(校長室より)  教育と新聞(12/23)

 教育に新聞を活用する方法を考える「第25回NIE(エヌ・アイ・イー)全国大会」が11月22日、東京都内で開催されました。新型コロナウィルス感染拡大の影響で、今回は初めてオンライン開催となり、配信された講演や実践発表を教育や新聞の関係者が視聴しました。本県からも関係者15人が参加し、本校の大津幸信先生も参加しました。(大津先生はNIEアドバイザーとして参加し、その感想が12月13日付上毛新聞に掲載されました。)

 記念講演は、ハゲタカシリーズなどの社会派小説で知られる作家の真山仁さんが行いました。

「新聞を読めば自分は複雑な社会にいて、知らないことがたくさんあり、それを知る努力をしなければならないと気付かせてくれる」

「疑問があっても事実に基づいて反論しないと駄目」

「誰でもできるのは、新聞を疑い続けること。『100%本当か』と『うそだ』とはぜんぜん違う」

「『本当にそうなのか』という気持ちを子どもたちに持たせ想像を喚起させることが、これから新聞を用いた教育で一番大事になるのではないか」などと参加者に問いかけていました。

 

 話は変わりますが、新聞やマスコミが、新型コロナウィルス関連のニュースを数多く取り上げています。様々な情報が流れる中、私が当初から疑問に思っていたことは、感染者数だけでなく、検査した総数の情報を何故掲載しないのか?という点です。最近では、検査総数から導き出だされる陽性判定率も提示されるようになってきましたが、当初は全く公表されず意図的に隠しているのではないか、との感想を持ちました。新聞記事だけで、全てが明らかになるわけではありませんが、他人の考えを鵜呑みにするのではなく、自分自身で考えるために、新聞から様々な情報を入手することが必要です。高校生たちも、新聞から社会の課題を見つけ、自分で考える習慣を身に付けてほしいと思います。

(校長室より)  一度読んだら絶対に忘れない世界史(12/18)

 「一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書」山崎圭一著(SBIクリエィティブ)を読みました。この本を読み、私たちは何故、歴史や地理などの社会科を学ばなければならないのか、ということをあらためて実感しました。

 

 この本の著書、山崎圭一先生は、福岡県の公立高校で社会科を教えていました(2020年3月退職)。教師時代に歴史や地理など500本以上の授業動画を公開し、再生回数850万回以上を数える人気ユーチューバーとなっています。

(山崎圭一チャンネルhttps://www.youtube.com/c/HistoriaMundi/videos

 

 山崎先生がYouTubeを始めたきっかけは、転勤だったそうです。公立高校の教諭は5年~10年ほどで学校を異動します。異動前の高校2年生に、世界史を教えていた山崎先生の転勤が決まったとき、当時の2年生から、「3年生になっても世界史を教えてほしい」と言われたそうです。新しい学校での仕事がありますから、前任校で教えることは不可能です。その際生徒から、「それならせめてYouTubeでやってほしい」と熱望され、始めてみたところ、高校生だけではなく、不登校の生徒や、海外留学中の生徒、社会人など、予想もしていない人たちが、授業動画をみて勉強していることがわかったそうです。

 

 山崎先生の歴史は、年号を扱いません。歴史は暗記するものではなく、ストーリーを楽しむものというのが先生の主張です。そして、歴史や地理などの社会科という科目は、社会に出てから必要になる教科である、ということも述べています。確かに社会人になってから、歴史や地理、政治や経済が必要になる場面が、たくさん出てきます。歴史から、自分の人生を見つめ直すことができます。社会人になってから、学び直しをする人が多いことからも、それがわかります。本校の図書室に、山崎先生の著書の購入をお願いしました。多くの高校生にこの本を読んでほしいと思います。