校長室より

(校長室より)  「孤独のグルメ」(5/15)

 2016年4月から、上記タイトルの深夜番組がBSテレ東にてスタートし、2019年12月末まで(Season1~8)放映されました。現在は、オンデマンド方式等で、過去の放送がみられるようになっています。主人公は個人で輸入雑貨商を営む“井之頭五郎”、彼が出張で様々な街を訪れるのですが、その街で、昼食や夕食、デザート等を食べ歩くグルメ番組となっています。主人公の『それにしても腹がへった』というセリフを聞くだけで、心が和みます。主人公が食べるメニューは、本当においしそうなのですが、食べ物以上に、主人公を演じている俳優、松重豊氏の存在が、この番組の魅力になっています。

『PHP』(PHP研究所発行)という月刊誌の6月号に、松重豊氏が掲載されていました。タイトルは【グイグイいくだけが人生じゃない】というものです。松重氏はこんなことを言っています。

「俳優という仕事は、たしかにいろいろな経験ができます。すごい人に会えたり、ふつうの人が行けない場所に行けたりする面白さがある。役を通していろんな人の人生を知ることができるのも楽しいなと思います。でも画家や音楽家、小説家のように、自分の感情や思いを発して、それが作品になる人たちとは全く違う職業なんです。(中略)自分を入れ物だと思って、出来事をまず素直に受けとめてみると、案外マイナスな出来事の中にもプラスの面を見つけることがあります。それに気づけたら、人生は深みを増していくと思うんです。ぐいぐいいくだけが、いい人生じゃない。流れに身をゆだね、受け身で生きる。ひかえめな姿勢によって見つけることができる楽しみもあるんじゃないかと僕は思います。」

現在、新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、多くの人々の在宅時間が長くなっています。案外マイナスな出来事の中にもプラスの面を見つけることがあります、と松重氏が述べています。いままで目をそむけてきた分野(読書、トレーニング、料理等々)へチャレンジしてみると、新たな楽しみがみつかるかもしれません。

(校長室より)  「農業クラブ全国大会」(5/7)

 4月28日付けで、全国農業高等学校長協会、日本学校農業クラブ連盟から、本年10月に予定されていた、第71回日本学校農業クラブ全国大会 令和2年度静岡大会の中止について連絡がありました。

農業クラブとは、全国の農業高校をはじめ、高等学校の農業に関する学科や総合学科で学ぶ生徒によって、高校ごとに組織されているもので、関係する生徒全員が加入しています。この全国大会には、平板測量競技会や農業鑑定競技会の他に、各都道府県大会(6~7月)や各ブロック(関東地区等全9地区)大会で、最優秀賞に輝いた代表生徒及びグループが、全国大会に出場し、意見発表・プロジェクト発表の各3部門で発表します。昨年10月に開催された第70回南東北大会には、私も本校農業クラブ役員とともに参加しました。この大会に出場して優秀賞を受賞した本校生徒(グリーンサイエンス科3年)の意見発表も、大変素晴らしい出来でしたが、各ブロック代表の発表もなかなかのものでした。

このような意見発表やプロジェクト発表は、農業クラブに加入している各学校で開催されます。本校では、校内発表大会を例年6月に予定しています。各部門別の学校で代表者を選び、7月に開催予定の群馬県大会に出場します。本年は、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う臨時休業で、例年どおりに実施することは難しい状況となっていますが、このように自分で学んだこと、研究したこと、体験したことを、他者に話したり、大勢の前で発表したりするという活動は、先生や教科書に教えられる知識や情報を、頭の中にいれるインプットだけでは得られない学力が身につきます。得られた知識や情報を再構築して、自分の言葉で発信する(アウトプット)ことで、知識や情報の定着・活用が図られることになります。

【学びを結果に変えるアウトプット大全】の著者、樺沢紫苑氏はこのように述べています。「成長するためには、インプットとアウトプットをどんどん繰り返す必要がある。インプットとアウトプットをセットで行うことにより、螺旋階段を上るように少しずつ成長していく。」「インプットはただの【自己満足】にすぎない。【自己成長】はアウトプットの量にこそ比例する。」

生徒自らが、アウトプットすることによって成長できる、このような全国大会が中止になるのは大変残念ですが、新型コロナウィルスの感染拡大が収束した後、生徒が活躍できる多くの大会が実施できることを願っています。

(校長室より)  「オンライン授業」(5/1)

新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、群馬県立学校では、臨時休業が5月末まで延長されることになりました。各学校では、webページでの連絡、一斉メール配信、教育支援アプリケーション等を活用して、生徒への連絡、動画配信、課題の配信・提出・解説、質問への回答等を行い、生徒の自宅学習が進められています。

4月27日付日本経済新聞で、欧米や中国で日常となりつつある「オンライン授業」をとりあげています。東京にある私立の中高一貫校では、あらかじめ各家庭の通信環境を確認、生徒は入学時にタブレット端末を購入し、4月から、全教科での遠隔(オンライン)授業を始めています。このようなオンライン授業では、パソコンやスマートフォンを使って、セミナーやミーティングをオンラインで開催するためのアプリケーション「Zoom」を使用しています。

この学校では、こうしたオンライン授業を始めるにあたり、様々な問題点が指摘されました。

「対面授業と同じことを遠隔で実施するという発想ではうまくいかない。」

「15分が限度であり、長時間の連続した講義はさける。」

「通信が途切れる可能性や双方向での会話ではタイムラグが生じることもあるため、対面授業と同じスピード感で進めることもできない。」

このような双方向のオンライン授業システムを取り入れている全国公立の小中高は、現在約5%ほどです。オンライン授業で音楽や体育実技など、全ての学習活動が可能となるとは考えられませんが、学校での授業が再開できない現状では、こうした取組にも注目し、インターネットを使った授業についてさらに検討していく必要があります。

(校長室より)  「自宅学習」(4/22)

 新型コロナウィルスの感染拡大により、全国各地の小中高校で臨時休業が継続し、本校においても、学校からの課題やスタディサプリの活用(1、2年)等で、生徒による自宅学習を進めているところです。

4月20日付け朝日新聞で、「東大教授が教える独学勉強法」(草思社文庫)を紹介しています。この本は、2018年、19年と2年続けて、東大生協(本郷キャンパス)の文庫本部門で、販売1位となりました。この本を書いた柳川範之さん(東京大学大学院教授)は、こんなことを述べています。

「理解のスピードは本来、人それぞれです。学校はカリキュラムが決まっているので同じ速度で進めますが、わからないところには1週間でも2週間でも時間をかけたほうがいい。(中略)たとえば、中2で数学が苦手だったら、まず中1の教科書を見返す。それでもわからなかったら、小学校の教科書のわかるところまでさかのぼる。いまだからこそ、そんな時間の使い方をしてはどうですか?」

現在、公的機関が発信する授業動画や、民間の動画配信サイトで、数多くの授業動画が利用できます。また全国の中高生の約90%が勉強にスマホを取り入れているといわれています。こうしたタブレット端末やPC等を利用しての自宅学習は、各自のペースで、各自のレベルにあわせて学習できる利点があります。

臨時休業という前例のない状況のなかでも、一人で勉強に向き合うことは、将来解答のない課題や問題にぶつかった時に、必ず役に立つと思います。

(校長室より)  「目指すべき目標、夢中になれるもの」(4/16)

 

 4月8日、本校で令和2年度第108回目の入学式が挙行されました。式辞のなかで、ラグビー日本代表のキャプテン、リーチマイケル氏の発言を紹介しました。

「ジャパンでは、朝5時から練習するときもあります。4時に起きて、4時半スタートもある。スクラム、ラインアウトやって、チーム練習やって、ウエイトやって、スキルもやって。1日、3回も4回も、練習をやってきました。僕は絶対、グラウンドに立たないといけない。ケガをする暇もない。」

このリーチマイケル氏の発言は、目指すべき目標があれば、夢中になれるものがあれば、それに向かって日々成長することができる、ということを私たちに教えてくれます。そしてラグビー日本代表は、日本中を感動させました。その理由は、チームがひとつになって、ひとつの目標にむかって日々成長していく姿を、我々に身をもって示してくれたからだと思います。

現在、本校は、新型コロナウィルス感染症拡大予防のため、臨時休業を継続させています。私たち教職員は、生徒が日々成長してくれることを願っています。生徒のみなさんは、学校が用意する課題や、公的機関や民間業者の配信する動画等を活用して、学習を継続してください。「目指すべき目標」を設定し、自分の意志で、自らを日々成長させてください。学校再開の時、みなさんが元気に登校する姿を、とても楽しみにしています。