校長室より
(校長室より) 「オンライン授業(試行)」(6/16)
6月1日から学校が再開し、本校における分散登校も3週目に入りました。6月4日から、学年別にオンラインHR(試行)を実施しました。いろいろな問題点は発生しましたが、ほとんどの生徒が参加できたと思います。今週から、オンライン授業(試行)をスタートしました。昨日は2学年の1限と2限を実施しました。始めてオンライン授業を経験する先生方も、パワーポイント画像、ホワイトボード、YouTube動画等、様々なコンテンツを授業に取り入れていました。生徒たちも、チャット機能を活用して、先生とコミュニケーションをとるなど、各自で工夫しながら、授業に取り組んでいました。
イギリスで暮らす作家の、ブレイディみかこ氏は、ロックダウンで休校になった息子の中学の先生たちと、電話でこんなことを話したそうです(6/11付朝日新聞掲載)。
ある数学の教員は、「興味深いこともあるんです。ふだんは質問なんかしなかった子たちがメールを送ってくる。成績もふるわず授業に関心もなさそうだった子に限って『ここがわからない・・・』と言って。」「それは面白いですね」と答えると、彼女は言った。「ひょっとして、私はそういう子が質問できない雰囲気の授業をしていたのではと反省しました。今の状況はこれまで気づかなかったことを学ぶ機会になっています。」
コロナ禍による学校の臨時休業により、各学校が進めているオンライン学習は、これまで見逃されてきた教育の問題点を明らかにしています。これからの教育は、学校や教師だけが授業(学習)を仕切るのではなく、民間企業、大学、NPOなど幅広く社会に存在する教育資源を、児童・生徒がそれぞれの学びに生かしながら、みんなで個別に学ぶ学習に変わっていくのかもしれません。
(校長室より) 「一流の雑談力」(6/10)
先週の6月4日、本校初のオンラインHR(試行)を実施しました。まずは1年生各クラス、5日は3年生各クラス、8日は2年生各クラスで、それぞれ約20分程度でしたが、なんとかうまくいきました。当初は生徒が出席できなかったり、音声をミュートにできなかったり、いろいろな問題が発生しましたが、各担任が出席をとり、連絡事項を伝えるなどしながら、生徒とコミュニケーションをとることができました。私も生徒の顔をみながら話をしましたが、生徒の表情をみながら話すのはとても楽しかったです。今後、コロナウィルス感染拡大による学級閉鎖や臨時休業が再び起こってしまうのか、起こらないのか、全く予想がつきません。その時のための準備を進めていきたいと思います。
標記タイトルは、オリエンタルラジオの中田敦彦氏の動画配信サイト“YouTube大学”(5/28配信)からお借りしました。中田氏が開設したこの動画は、登録者数246万人、動画数370本(6/9現在)に達する大人気の動画です。動画のテーマは、日本史、世界史、古事記、三国志、北朝鮮、スラムダンク、鬼滅の刃等々、様々な分野にわたりますが、本の解説等もすばらしいプレゼンテーションになっています。
(校長室より) 「学びをとめるな!」(6/4)
6月1日から学校が始まりました。学年を基にした分散登校ですが、生徒たちは元気に登校しています。来週から段階的に授業が始まります。約2ヶ月間、課題等の家庭学習でしたが、これからは学校での授業・実習等で確かな学力を身につけてほしいと思います。
さて、先日、河合塾主催の「対話のひろば【学びを止めるな!-コロナを超えて学びと働き方を考える-】」というイベントに参加しました。参加したとはいっても、オンラインによる自宅からの参加となりましたが、大変中身の濃い2時間30分でした。
最初に2つの講義がありました。
一つ目は、立教大学経営学部教授、中原淳氏による「アフターコロナの働き方と学び方」です。コロナウィルスの感染拡大によって、日本の働き方、学び方の課題が浮き彫りになり、これからはオンライン環境もフル活用しなければならない。日本はICT利用が、OECD諸国のなかで最も遅れている国であり、オンライン学習も進んでいない、と指摘しています。これからはオンライン、オフラインを組み合わせたフレキシブル(ハイブリッド)な働き方、学び方になる、というものでした。
二つ目は、桐蔭横浜大学学長・教授、溝上慎一氏による「ブレンディッドラーニングの視点からアフターコロナの学校教育を考える」です。溝上氏によれば、学習の個別化の推進によって、「みんなで一緒に学ぶ」から「みんなで個別に学ぶ」。オンライン学習を利用して、「どことでも」「どこからでも」リアルタイムの授業ができるようになる。これからは対面学習+オンライン学習の長所をとりいれた、混在する学習が主流になっていく、というものでした。コロナウィルス禍によって日本の教育の課題が明らかになったので、これを契機に教育も変わらなければならない、と強く感じました。
(校長室より) 「こっからが出発点だ」(5/27)
本校を含めた多くの学校が、6月1日から始まります。まずは分散登校になりますが、1日も早く生徒が元気に登校してくる姿を見たいと思います。しかしながら、全国の多くのイベントを含め、中学・高校総体、高校野球、吹奏楽コンクールなど、生徒たちが目標としていた大会のほとんどが中止となりました。高校生活において、多くの時間とエネルギーを費やしてきた生徒たちにかける言葉がなかなかみつかりません。
朝日新聞デジタルで、高知県須崎市にある高校野球の名門校、明徳義塾高校野球部の馬淵史郎監督の言葉が掲載されました。2020年5月20日、約100人の部員に大会中止を伝えた時の言葉の一部を紹介します。
「目標としとったものがなくなるというのは、本当にね、なんともいえん。一言では残念としか言いようがないけど、それだけでは言葉が足らんと思うんやけど。目的は【将来につながるための高校野球】やから。それだけは忘れんなよ。勝った負けた、甲子園に出場できるできない、レギュラーになったなれないと、いろんなことがあるけど、要は、世の中に出て通用するようなことをグラウンドで学ぶのが高校野球なんや。(中略)忘れんなよ。世の中に出ていろんな苦しいことがあった時に、耐えていける精神力をつけるというのが高校野球なんや。こういう苦しい時ほど、人間は試されるんで。甲子園だけが全てじゃないんやから。人生、甲子園に行けない人間の方が多いんやから。全員が気持ち切り替えてやっていかないと。それでも最後まで同じ仲間とグラウンドでやれたというのが財産やから。10年、20年経って、『あの時、自分らの代は地方大会がなかった。試す場所がなかった』ということが、きっと役に立つ時があるから。(中略)頑張ってやれよ、こっからだぞ。こっからが出発点だ。何も終着駅じゃないよ。こっからが出発点だ。気持ち切り替えてやっていけよ。ええか。」
(校長室より) 「9月入学」(5/20)
新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、各学校で、臨時休業が継続されています。本校では、6月1日の学校再開にむけて、準備を進めているところです。
そんな中、新聞紙上で賑わいをみせているのが、4月の入学・始業時期を9月に移行させる議論です。5月8日付読売新聞論点スペシャルの欄で、賛成反対両者の意見をとりあげています。9月入学については、2011年の東京大学による秋入学の検討で多くの人に知られるようになりました。賛成する国際大学教授信田智人氏は、教育の国際化推進のために、諸外国で主流の9月入学への移行が必要だ、9月入学によって優秀な留学生や研究者の受け入れが進み、海外大学との共同教育プログラムもやりやすくなる、日本の学生も、入学時期のずれを気にせず海外留学に挑戦できる、としています。また子どもの学習が夏休みで長期中断しない、夏休みに、教員が十分時間をかけて新年度の準備ができる、といった利点もあります。
9月入学に反対する教育研究家の妹尾昌俊氏は、社会全体が危機に直面し、対応に追われる行政や学校現場が疲弊する中で、こうした議論はあってもいいが、今優先させる話ではないし、今行うべきではない、と主張しています。義務教育の開始時期や会計年度などにずれが生じる、入試や資格試験、採用や就職活動の日程見直しの必要等、課題が山積しています。
9月入学・始業というこの制度を実現するために、少なくとも準備期間を含め5年~10年計画で検討する必要があると考えます。ある学年だけに負担をかけるのではなく、少しずつ段階的に進めていくものであり、国民全体の理解がなければ困難だと思います。