校長室より

(校長室より)  マラソン(12/14)

 先週末、本校でマラソン大会が実施されました。天候にも恵まれ、ゴール後、生徒たちのさわやかな笑顔をみることができて、幸せな気持ちになりました。

 

 さて、人は何故走るのでしょうか? 日本では、週1回以上ランニングをする人は、約549万人いるそうです。また本年秋から2021年春にかけて、開催予定のマラソン大会が、約460レースあり、それらが中止・延期された場合の経済的損失額は推定計7100億円に上るそうです。私は毎年12月に開催されるホノルルマラソンに参加したいと思っていたのですが、本年は中止となりました。一方、ランナーが大会で集まることなく、スマートフォンのアプリで自分の好きな時間に走る「オンラインマラソン」の大会も広がっています。先月群馬県で開催された「ぐんまマラソン」も「ぐんまウェブマラソン2020」というオンラインマラソンでした。

 

 人は何故走るのでしょうか? 鹿島アントラーズ地域連携チーフマネージャーの吉田誠一さんは、11月30日付日本経済新聞紙上でこんなことを述べています。

「農道や川沿いをのんびり走りながら、私は自然の中で溶け込んでいく。自分が独立した存在ではなく、周囲と融和していく。そのとき、取り巻く世界のすべてが一つの命であるように感じる。自分の収まりのよさを感じる。そこにある安寧が私を走らせ、登らせるのかもしれない。」

(校長室より)  人生の成功(12/4)

 人生の成功とは何でしょうか。お金持ちになれば成功なのでしょうか。プロスポーツ選手や芸能人やユーチューバーとなって有名になることでしょうか。仕事をせずに遊んでくらすことでしょうか。何をもって成功というか、その答は人の数だけあると思われます。先日、天才芸術家・岡本太郎氏の著書「自分の中に毒を持て」を読み、太郎氏の考えに感動しました。

(岡本太郎氏の代表作は、1970年の大阪万博博覧会でテーマ展示を依頼され作り上げた【太陽の塔】であり、国際的にも話題となり永久保存されています。)

 

 太郎氏が若い頃、自分の作品に対して「そんな落書きは通用しない」と芸術界の大御所たちに馬鹿にされた時、こう思ったそうです。「だから何だ、上等だよ、俺は他人に評価されるために作品を作っているわけじゃない、作品を命がけで作っている、この生き様こそが美しいんだ。自分が本気でやって、それで野垂れ死ぬなら本望だ。」「挑戦した不成功者には再挑戦者としての新しい輝きが約束されるが、挑戦を避けてオリてしまったやつには新しい人生はない。ただただ成り行きにまかせてむなしい生涯を送るにちがいないだろう。」

 

太郎氏の言葉から学べることは、人生の成功は、いかに自分の信念を貫いたかで決まる、ということです。人生の成功に正解はありません。しかし他人にどう思われるか、お金持ちになるかどうか、ということではありません。人生の成功の基準は、自分がやりたいことを最後までやりぬいたか、ということです。これからの人生で価値があることは、他人の人生の正解をなぞる人生ではなく、自分の人生の正解を作っていける人です。大事なのは他人がどう思うかではなく、自分がどう思うか、ということだと思います。

太郎氏はこんなことも言っています。

「【成功は失敗のもと】と逆に言いたい。その方が人生の面白さを正確に言い当てている。」

(校長室より)  デジタル指導力(11/30)

 「全教員にデジタル指導力」11月23日付日本経済新聞の1面にこのようなタイトルの記事が掲載されました。記事の一部を紹介します。

 

 「政府はデジタル活用の能力を備えた小中高校の教員育成に乗り出す。授業でのICT(情報通信技術)活用法を各教科で示すとともに、来年度からICT関連企業OBらを学校に最大9千人派遣。将来は全教員が遠隔授業などを実施できるようにする。新型コロナウィルスの感染拡大も視野に入れ、世界的にみて出遅れている指導力の底上げを急ぐ。」

 

OECD(経済協力開発機構)の調査によれば、デジタル活用スキルが高い学校に通う生徒(15歳)の割合は、参加した79カ国・地域での平均が60%を超えていますが、日本は最低の27.3%でした。また校内ネットワーク環境整備においても、端末への接続が十分であるOECD加盟国の平均67.2%、米国や北欧諸国は80%を超えていますが、日本のそれは36.5%となります。

海外から大きく後れをとっている状況をうけて、今年度、文部科学省は全ての小中高の児童生徒全員に、学習用端末(タブレット、あるいはノートPC)を配布する予定です。また校内ネットワーク環境整備(Wi-Fi)も計画されています。こうしてハード面が徐々に整備される予定ですが、デジタル人材の育成には全国約100万人いる教員全員がICT活用や指導法に習熟する必要があると思われます。

本校においても、年度末までに全生徒・全教員にノートPCが配布される予定です。この端末をどのように活用するか、生徒にどう活用させるかなど、我々教員は学ばなくてはなりません。ICT教育に限ったことではありませんが、教員が学ぶことをやめたら、教えることもやめなければなりません。

(校長室より)お笑いジャーナリスト「たかまつなな」さん(11/24)

 お笑いジャーナリスト「たかまつなな」さんが、11月3付朝日新聞に紹介されています。
 たかまつななさんは、横浜市にある中高一貫のフェリス女学院中学校・高等学校を卒業し、慶応大学総合政策学部に進学、その後、サンミュージックプロダクションに所属し、お笑い芸人になります。2016年に慶応大学を卒業後、NHKにディレクター職で入局、本年退局し、お笑い界の「池上彰」を目指すことにしたそうです。たかまつさんは、子どもたちや若者たちに、「お笑い」で社会問題を伝えようとしています。
 たかまつさんが、中2の時、爆笑問題の太田光さんと思想家・人類学者の中沢新一さんの対談「憲法九条を世界遺産に」という本と出会いました。自分が思っていた憲法とまったく違う視点で書かれていたことに感動して、「お笑い」というのもありだと考え、中3の時、新宿区の「新宿ちびっこ漫才グランプリ」に出場、その後「ハイスクールマンザイ」に高校3年間出場し続けたそうです。
 現在、たかまつさんは、時事ユーチューバーとして活躍しています。【たかまつななチャンネル】(YouTube)が最近取り扱っている題材は、「アメリカ大統領選、ついに決着」「アメリカの若者のリアル」「石破茂氏との対談」「野田聖子氏との対談」「いじめ認知した学校、過去最多」などのニュースやレポートです。
 たかまつさんは、中学生の時から、政治や社会の問題を、同世代や若者たちに伝えたいと考えていました。NHKを退局したのも、自分で番組を作ることができるまで、あと何年かかるかわからない、と考えたからだそうです。これから若い世代と社会を変えていこうとしている、たかまつななさんに注目していこうと思います。

(校長室より)  「世界のドメイン、251」(11/2)

10月25付朝日新聞の全面広告欄に、世界251の国・地域のドメインが紹介されています。

本校webページアドレス(URL)は、http://www.nc.oizumi-hs.gsn.ed.jpとなりますが、このアドレスの最後にある「.jp」がトップレベルドメインと呼ばれ、本校が日本国に存在することを示しています。ちなみに「.us」アメリカ合衆国、「.ru」ロシア、「.cn」中国となります。「sekai-domain.jp」にアクセスすると、3D地球儀があらわれ、そこに表示されている色分けされたポイントをクリックすると、その国・地域のドメインやエピソードを見ることができます。

 

話は変わりますが、オリエンタルラジオ中田敦彦氏がyoutubeにて、約3000万人のフォロワーを持つ世界的クリエイター、NasDaily氏と対談しているのを見ました。NasDaily氏は、イスラエル/パレスチナ出身で、アメリカ合衆国のハーバード大学を卒業しています。卒業後ソフトウェア・エンジニアとして働きますが、自分の人生の過ごし方に疑問をもち、会社を辞め、世界に旅に出ます。そして世界を旅しながら動画を配信し、その動画コンテンツがFacebookで人気を博し、今ではたくさんのフォロワーが彼のページを見ています。そんな彼に興味をもった中田氏が自分のチャンネルで彼を紹介したことが縁で、この対談が実現しました。中田氏が最近学び始めた英会話で通訳なしの対談を試みたことも素晴らしいのですが、NasDaily氏の動画について、世界中のニュースが発信している内容と、NasDaily氏が発信していることの違いや、日本が世界からどう見られているか、といった内容の話も、興味深く聞くことができました。

 中田氏をはじめ、多くの日本人がyoutubeSNSを活用して動画配信を行っていますが、NasDaily氏のように、世界中に自分の意見を発信している日本人はいるのでしょうか? 再生回数や登録数を競うだけではなく、世界251の国・地域に対して自分の意見を発信できる日本人の活躍を見たいものです。

(校長室より)  「白石康次郎さん 海洋冒険家」(10/27)

10月24付朝日新聞フロントランナーのコーナーに、海洋冒険家の白石康次郎さんがとりあげられました。白石さんは、少年時代に船で海を渡る、という夢を抱き、神奈川県立三崎水産高等学校(現、海洋科学高等学校)に入学します。在学中に第1回単独世界1周レースで、日本人の多田雄幸さんが優勝したニュースを見て感動し、自分もヨットで世界1周をしたいと思いました。その後、多田さんに弟子入りをし、レースをサポートしながら修行を積み、無補給の世界一周に挑戦するも2度連続失敗、26歳になった1994年、3度目の挑戦を176日間で成功させました。当時の史上最年少記録でした。

2016年、どこにも立ち寄らず地球を1周する、最も過酷とされる4年に一度のヨットレース「ヴァンデ・グローブ」に初挑戦しました。だがフランス西部を出て1カ月後、南アフリカ沖でマストが折れて途中棄権。1.7億円で購入した中古船の老朽化が原因だったそうです。

「夜中に突然、計器が全部ゼロになって。外に出たら・・・・。涙が枯れ果てるまで泣きました。」ただ夢にみた舞台から転げ落ちても、下は向かない。「またやる。すぐ決めた。俺はあきらめないよ。なぜ? やりたいから。」

白石さんは現在53歳です。来月11月8日、このレースに再挑戦します。「レースは連続2千時間。何が起こるかわからない。命が懸かってるから、最高に面白いよ。生きてる実感がある。」「先が見えないから楽しいんだよ。あなたの一生はこうです、なんて嫌だ。好きなことをやらないと生まれてきた意味がない。」

この特集の最後に白石さんはこう述べています。「人間の最強の力は好きなことをやること。笑顔で幸せになれる。『好きなことばかりやってちゃダメ』なんて言っている大人の顔を見て下さい。だいたい、つまらなそうな顔をしてますから。」

一生をかけて好きなことに挑戦する白石さんのメッセージは、我々大人にも響いてきます。高校生のみなさんも、一生かけて挑戦し続けることができる、自分の好きなことを見つけてほしいと思います。

(校長室より)  「キャンプ芸人 ヒロシさん」(10/23)

10月21付朝日新聞のBSテレビ紹介欄に、「ヒロシのぼっちキャンプ Season2」という番組が掲載されました。記事によれば、この番組は2018年に15分番組として放送され人気を博し、今回は1時間(回によっては30分)に枠を拡大して再スタートするようです。この番組の伊藤プロデューサーは、こう述べています。

「キャンプのノウハウを提示するのではなく、ヒロシさんが自分の時間を自分で満たす姿をドキュメンタリータッチで描きたかった」「これが好き、これが嫌いと自分本位で決めていくヒロシさんの姿を通じて、『自由にいきましょうよ』というメッセージが伝われば」

 

ヒロシさんは、2003~2004年、芸人として成功し、最高月収は月4千万円だったそうです。売れる前は風呂なしのアパート(家賃3万円)に住んでいましたが、売れた後、家賃48万円の大きな家に引っ越し、外車ジャガーを手に入れました。成功してわかったことは、自分の時間がない、自分にとってこれらのお金、でかい家、外車等は必要ない、自分の時間を自分の好きなことに費やしたい、という思いでした。

ソロキャンプは、趣味で始めたそうです。ブームが来る前に始めた動画作成サイトyoutube“ヒロシちゃんねる”も、スマートフォンで好き勝手に作ったそうで、これほどブームなるとは想像していなかったようです。

ヒロシさんが、楽しそうにキャンプをやっている姿をみると、自分まで楽しい気持ちになります。彼は、このようにテレビで放映されるキャンプを「ビジネスキャンプ」といいます。好きで始めたキャンプが、仕事になっていることはうらやましい限りですが、大事なことは、好きで始めたことや夢中になれることは、長く続けることができる、仕事になるかならないかは別として、自分の好きなことを自分流に楽しむこと、それらの大切さをヒロシさんは教えてくれます。

(校長室より)  「メモワール(記憶、思い出)」(10/13)

先週、「モーニングノート」について記述しましたが、今回は「メモワール」について書きます。これは先に紹介した著書「いくつになっても【ずっとやりたかったこと】をやりなさい」ジュリア・キャメロン著(サンマーク出版)で推奨されていた4つのツールがありましたが、そのうちの④になります。(①モーニングノートを書く、②週1回、楽しいことを探すために新鮮な体験をする、③週2回、何も持たずウォーキングをする、④週1回、自分自身の過去について振り返ってみる)

みなさんは、過去を振り返ったことがあるでしょうか。日々の生活に追われていると、過去を振り返る時間を作ることは、なかなか難しいことだと思います。この本では、年齢を12分割して考えることを推奨していますが、高校生の場合は3年おきくらいがちょうどいいのではないかと思います。そして、その期間がどうだったかを思い出す、どこに住んでいたか? どんな音を聞いていたか? 印象的だった匂いは? その時誰をなつかしく思うか? その時好きだった人は? 助けてくれた友達は? あの時やった遊びは? 夢中だったことは? 何に挑戦していたか? そして自分自身の過去について敬意をもって振り返る、自分自身の人生を誇らしく思う、こんなにも愛されてきた、こんなにもがんばってきた、意味のある面白い時間を過ごしてきた、そうしたことを振り返っていると、今の自分が何をしたいかが見えてくると著者は述べています。もしかすると新しい自分を発見できるかもしれません。

 このことは、高校生だけでなく、我々大人も、時々自分自身の過去を振り返ってみることが大切だと思います。

(校長室より)  「モーニングノート」(10/5)

みなさんは、日記というものをつけたことがあるでしょうか。私も昔、毎日食べたものを記録したり、運動内容を記録したりしたことがありますが、長くは続きませんでした。そして、先週から、「モーニングノート」というものを書き始めました。これは、「日記」とは別のものです。

「いくつになっても【ずっとやりたかったこと】をやりなさい」ジュリアキャメロン著(サンマーク出版)という本を読みました。この本には4つのツールが示してあり、①モーニングノートを書く、②週1回、楽しいことを探すために新鮮な体験をする、③週2回、何も持たずウォーキングをする、④週1回、自分自身の過去について敬意をもって振り返ってみる、ということを推奨しています。この中の①を、私もやってみました。

日記というと、その日の出来事を記録する、といった内容になりがちですが、この「モーニングノート」は、毎朝A4のノートに手書きで書く、というルールがあります。1日は始まっていないので、とにかく考えたことを何でも書いてみる、ということです。今日何をするか、何をしたいか、本当にやりたいことをやっているか等々です。自分に対して正直に考えたことを記述していきます。あくまで自分自身を見つめるために書くので、誰にも見せる必要はありません。自分に正直に、自分の考えを記述するだけです。

 

 今年の高校3年生は、10月16日から就職試験が始まります。大学や専門学校のAO入試や推薦入試はすでに始まっています。将来の進路が着々と決定していくと思われますが、みなさんの本当にやりたいことは何でしょうか。このことは、高校生だけでなく、我々大人も、時々自分自身を振り返って考えてみることが大切だと思います。

(校長室より)  「ソロキャンプ」(9/24)

キャンプが人気です。日本オートキャンプ協会によれば、オートキャンプ場に宿泊した人は、2012年約720万人だったのが、2019年には約860万人(推定)に増加したそうです。

9月17付上毛新聞で、キャンプの様子を撮影した、動画投稿サイトyoutube【ヒロシちゃんねる(お笑い芸人ヒロシさんのサイト)】を紹介しています。この動画はソロキャンプの魅力を伝えるものとして、登録者数が100万人に迫るほどの人気だそうです。

先日、人気アイドル嵐のメンバー、大野智さんが、ヒロシさんと一緒にキャンプをする動画を、youtubeでみつけました。大野さんが楽しそうにキャンプを体験している姿が、とても印象的な動画となっています。何故このようなキャンプ動画が人気なのでしょうか。

新型コロナウィルスの影響で、密な行楽や旅行に行くことが困難となっています。密にならずソーシャルディスタンスを保てる等の理由も、キャンプに注目が集まる理由のようです。

さきほどの新聞記事に、「ぼーっと“たき火”をみているだけで時間が過ぎる。」「日が傾くにつれて団体客は減り、谷間は川のせせらぎと虫の声に満たされた。たき火で鉄板を熱し、奮発した和牛のステーキ肉を乗せると、ジューッと食欲を誘う音が。(中略)絶え間なく変化する炎を見つめる。」などの感想が書いてありました。このような非日常を味わえることがソロキャンプの魅力なのかもしれません。久しぶりに“たき火”をやってみたくなりました。