2020年5月の記事一覧
(校長室より) 「9月入学」(5/20)
新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、各学校で、臨時休業が継続されています。本校では、6月1日の学校再開にむけて、準備を進めているところです。
そんな中、新聞紙上で賑わいをみせているのが、4月の入学・始業時期を9月に移行させる議論です。5月8日付読売新聞論点スペシャルの欄で、賛成反対両者の意見をとりあげています。9月入学については、2011年の東京大学による秋入学の検討で多くの人に知られるようになりました。賛成する国際大学教授信田智人氏は、教育の国際化推進のために、諸外国で主流の9月入学への移行が必要だ、9月入学によって優秀な留学生や研究者の受け入れが進み、海外大学との共同教育プログラムもやりやすくなる、日本の学生も、入学時期のずれを気にせず海外留学に挑戦できる、としています。また子どもの学習が夏休みで長期中断しない、夏休みに、教員が十分時間をかけて新年度の準備ができる、といった利点もあります。
9月入学に反対する教育研究家の妹尾昌俊氏は、社会全体が危機に直面し、対応に追われる行政や学校現場が疲弊する中で、こうした議論はあってもいいが、今優先させる話ではないし、今行うべきではない、と主張しています。義務教育の開始時期や会計年度などにずれが生じる、入試や資格試験、採用や就職活動の日程見直しの必要等、課題が山積しています。
9月入学・始業というこの制度を実現するために、少なくとも準備期間を含め5年~10年計画で検討する必要があると考えます。ある学年だけに負担をかけるのではなく、少しずつ段階的に進めていくものであり、国民全体の理解がなければ困難だと思います。