2020年1月の記事一覧

(校長室より)教育格差という言葉がなくなる制度設計を(1/10)

 新年、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
早速ですが、昨年12月24日付朝日新聞にこのような記事が掲載されました。「来年度から大学など高等教育の学費負担を減らす文部科学省の新制度で、従来なら支援を受けられたのに対象外となる新入生が出ることについて、萩生田文科相は23日、【先輩はこういう家庭環境でこうだったのに、俺はという不満はあるかもしれない】とした上で、そうした学生が出ることに対し【制度の端境期なので、ぜひご理解を】などと述べた。」
この発言に対し、池上彰氏はこのように批判しています。「これは由々しきことです。制度を変えることで支援を受けられない新入生が出ることは、制度設計の欠陥というべきでしょう。」
 教育格差という言葉があります。生まれ育った環境により受けることのできる教育に格差が生まれることを指します。このような格差のない国が存在します。それはフィンランドです。フィンランドでは幼稚園から大学まで学費が無料で、貧困の中からでも大学進学のチャンスがあり、首相にもなれます。
 12月24日付毎日新聞夕刊にて、小国綾子氏がフィンランドの女性首相(34歳)をとりあげています。彼女は幼い頃に父親のアルコール依存が原因で両親が離婚、貧困を経験しました。その後、母親とその女性パートナーに育てられました。中学までの成績は振るわなかったそうですが、高校や自治体の運営する施設で自分の居場所や仲間を見つけ、親族の中で初めて大学進学を果たしました。彼女は「私を救ってくれたのは福祉制度と学校の先生」と述べています。
 日本も、教育格差、という言葉がなくなるような制度設計をしてほしいと思います。