(校長室より) 「読解力」15位(12/10)
12月4日付朝日新聞によれば、世界の15歳を対象に3年ごとに3分野の力を調べる学習到達度調査(PISA)で、日本は2018年度の「読解力」の平均点が落ち、順位も前回の8位から15位に下がりました。コンピューターを使い、ネット上の多様な文章を読み解く力や、根拠を示して考えをまとめる自由記述形式が弱い、思考力や表現力が伸び悩んでいる、と指摘しています。調査方法が前回、紙からコンピューターを使う形となり、測る力が今回、ブログや電子メールなどを対象とした「デジタル読解力」へと変わった影響も大きいとの指摘もありました。また大量の情報から必要なものを選び出したり、情報を疑ってみたり、自分の考えを表現したりする力も不足していると述べています。
2020年度に始まる大学入学共通テストで導入予定の、国語と数学での記述式問題について、実施を延期する方向で調整に入ったとの記事が、各新聞で報道されています。採点者の質の確保や自己採点の不一致率の高さなどが課題となっているようです。記述式の導入は「生徒の能動的な学習をより重視した授業への改善が進む」「より主体的な思考力・判断力の発揮が期待できる」などが期待されていましたが、指摘されている問題がクリアできなければ、延期となるようです。
大学入学共通テストにおける記述式問題の導入が仮に延期されても、自分の考えを表現する記述力や「デジタル読解力」はこれからの時代に必要な能力です。朝日新聞の記者が、数年前にPISAの担当者に言われたことを最後に紹介します。
「学校で優等生だったのに就職後はさえない人がいる。それは何故なのか。」「細かな知識はネットで得られる。知識よりも知恵を出して事態を突破する力が求められています。」(12月4日付天声人語より)